みなさん、こんにちは。
リスモビアです。
先日、会社で移転価格税制のセミナーを受けたので
復習もかねて要点を端的にまとめてみました。
※この記事は経理・税務面の基礎知識がある方向けになります。
移転価格税制とは?
簡単に移転価格税制について説明すると、
海外子会社との取引金額を意図的に調整し、特定の国へ利益を集中させるのを避けることを目的にした税金です。
例えば、主に日本で活動する企業が1000万円の税引前利益を計上したとします。
この利益から500万円を、バハマの子会社へコンサルティング料として費用計上したとします。
この場合、日本の最終利益は、1000万-500万円=500万円
バハマでも500万円の利益になります。
日本・バハマの実効税率はそれぞれおよそ40%、12%ですので、日本で得た利益の大半をバハマの子会社へのコンサル料として売り上げを立てれば、計算上は法人税を押さえられます。
これで節税対策はバッチリ!!
しかし、そうは問屋が卸しません。
こんなスキームが横行すれば日本の税収は激減します。
このような企業の利益調整のための取引を防ぐのが移転価格税制です。
海外子会社との取引はどう計算するのか
海外子会社との取引をする際のキーポイントは、独立企業間価格です。
独立企業間価格とは、第三者と同内容の取引をする際の金額のことです。
つまり、相手が子会社でもグループ外の企業でも、同じものは同じ価格で売りましょうということです。
しかし・・・
独立企業間価格なんてどうやって判断するの?
そう、イメージこそつかめますが、判断するのが難しいんです!!
独立企業間価格の計算方法は、主に次の6つがあります。
上記の6つを私なりに解釈し、次のように分類してみました。
要点は上記の赤い箇所です。
ではそれぞれの計算方法について、より詳しくみていきましょう。
実際の標準的な取引から計算
実際の取引をもとにする(1)~(3)の方法。
(1)が実際のよく似た取引を基にするケース。
親会社がA国にある他の企業と5万円でテレビを販売しているなら、
A国にある子会社にも同じテレビは5万円で取引しようというもの。
(2)は海外子会社が販売する際の粗利に注目し、売上原価と売上を同程度に設定するもの。
親会社から10万円で仕入れて15万円で販売しているなら、
他者から20万円で仕入れたものは30万円で売ろうと考えます。
(3)は(2)の仕入れを基準にしたものですね。
これらの利点はわかりやすいところです。
しかし、同様の事例に当てはまる取引を見つけるのが難しく、応用可能性が低いのが短所です。
営業利益などの財務指標をもとに計算
続いて、営業利益などの財務指標をもとに計算する取引単位営業利益法(TNMM法)です。
この計算方法は、同じ商流でビジネスを行っている他社の営業利益率などがどれくらいの利率かをデータベースと突き合わせ、近い数値に価格を設定するもの。
ずばり当てはまる事例が見つかりにくい(1)~(3)と比べると精度は劣りますが、
応用がしやすいため、最もメジャーな金額算定方法になります。
業務の貢献度から計算
最後に親会社と子会社で営業利益を合算し、
それぞれの貢献度や利益率から比率を設定する利益分割法(PS法)について。
正直、よくわからなかったので、こちらをご覧ください・・・
ゆくゆくはこの記事でも紹介できるまでに精進せねば・・・
まとめ
いかがだったでしょうか。
移転価格税制は非常に難しい論点です。
実務使用されるのが多いTNMM法と、応用ケースが限定的ですが最も理想的な独立価格比準法(CUP法)を押さえておけばさわりとしては十分かな?と思いました。