経理・財務・税務

現役経理マンによる法人税基本講座!③法人税の計算方法(所得の計算)

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みなさん、こんにちは。

リスモビアです。

 

前回に続く法人税基本講座です!

https://rismovia.com/article/2021/08/cit2/

税金にまつわるネガティブなイメージを払拭するため、

 

経理マンの私が法人税について解説します!

 

前回の対話篇形式の記事が好評だったので、今回も対話篇方式でやっていきます!

【登場人物】

チーフさん
チーフさん

経理部でチーフをしてます。

新人ちゃん
新人ちゃん

経理部の新人です!

 

計算方法

では、最後に法人税の計算方法です。

 

まずは簡単な数式で示します。

法人税額=所得×実効税率

※所得=益金-損金

 

数式はシンプルですが、実務上の数式とは異なります。

 

なぜなら、法人税の数値は決算書上の当期純利益からスタートして、

益金や損金の額を調整して算出するからです。

 

では前項で出た某社の決算書(以下、損益計算書)例で考えてみましょう。

某社経理マン
某社経理マン
売上1000
売上原価500
粗利500
販管費300
営業利益200
営業外損益0
経常利益200
特別損益△60商品の評価損
税引前利益140
法人税等△56?税率は40%とする
当期純利益84?

 

まずは決算書上の当期利益から計算をスタートします。

新人ちゃん
新人ちゃん

法人税はこれから計算するのに

当期純利益からスタート??

チーフさん
チーフさん

いいところに気づいたわね。

 

法人税額がわからないのに、当期純利益から計算?

法人税の申告相は当期純利益からスタートします。

 

しかし、当期純利益からは法人税額も差し引かれてます。

 

あれ?これじゃ申告書かけなくない?

 

と思った方はご安心ください!

 

実は法人税の計算は2段構えになっています。

 

【法人税の計算】
①法人が自社の法人税額を計算する

②税務署に提出するために申告書を作る

 

申告書は、税務署が会社の申告が正しいかを確認するものなので、

最初は自分たちで計算しないといけません。

 

順序①:税引前利益から所得を計算

チーフさん
チーフさん

まずは自社の法人税額を計算してみましょう。

 

  

自社の法人税額のもととなる、所得を次の数式にあてはめて計算します。

 

所得=税引前当期純利益+加算項目-減産項目

 

 

新人ちゃん
新人ちゃん

加算項目?減算項目??

チーフさん
チーフさん

ごめんなさい、説明してませんでした。

 

所得は決算書の利益の益金と損金の集計範囲を調整して行います。

 

項目呼び方解説
加算項目益金参入決算書の収益じゃないが法人税の益金になる
加算項目損金不算入決算書の費用だが法人税の損金にならない
減産項目益金不算入決算書の収益だが法人税の益金にならない
減産項目損金算入決算書の費用じゃないが法人税の損金になる

 

前回の記事で紹介したように、

決算書と法人税は収益や費用の集計内容が異なります。

 

片方では収益/費用になったものがもう片方では認められないというものもあるんですね。

 

このような「益金/損金」に「なる/ならない」で所得を調整します。

所得が増える調整を加算、減る調整を減算といいます。

 

今回のケースはどのようになるんでしょうか。

某社経理マン
某社経理マン
売上1000
売上原価500
粗利500
販管費300
営業利益200
営業外損益0
経常利益200
特別損益△60商品の評価損
税引前利益140
法人税等△56?税率は40%とする
当期純利益84?

 

所得と利益の差になるのは60の評価減です。

 

定価で売れる可能性は残っているため、

法人税では費用(正確には損金)と認められません。

 

なので税引前利益を次の数式に当てはめて調整します。

 

某社経理マン
某社経理マン
金額
税引前当期純利益140
加算項目(評価損)60
減産項目0
所得200

 

所得が200と計算できました。

法人税は実効税率をかけて80となります。

 

では、損益計算書を埋めてみましょう。

 

某社経理マン
某社経理マン
売上1000
売上原価500
粗利500
販管費300
営業利益200
営業外損益0
経常利益200
特別損益△60商品の評価損
税引前利益140
法人税等△80税率は40%とする
当期純利益60

 

新人ちゃん
新人ちゃん

当期純利益と税引前利益-法人税等が決算書上だと一致しないんですか?

チーフさん
チーフさん

いいところに気づいたわね!

 

そう、法人税申告時にスタートすべき当期純利益は84が正しいです。

 

ただ、決算書と法人税申告書には数値のずれがあります。

その差を「法人税等調整額」という項目で調整します。

 

※法人税等調整額の話もすると長くなるのでこれは別記事にします

 

では某社の最終的な損益計算書はこうなります。

某社経理マン
某社経理マン
売上1000
売上原価500
粗利500
販管費300
営業利益200
営業外損益0
経常利益200
特別損益△60商品の評価損
税引前利益140
法人税等△80税率は40%とする
法人税等調整額24詳しくは番外編で
当期純利益84

  

まずは申告書を書く前に所得と当期純利益を計算してから

 

いよいよ法人税の申告書を書くことになります!

まとめ

いかがだったでしょうか。

 

法人税の計算は、まず所得の計算から始まります!

 

では改めてポイントをまとめます。

・法人税額の計算は税引き前利益から求める

・所得=税引前利益+加算項目-減産項目

・所得に実効税率をかけて法人税を算出

・当期純利益が求められたら、いよいよ申告書を作成

 

次回は法人税の中心になる別表4と別表1についてお話します!

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